心身ともに安定してくる妊娠中期は、別名「安定期」とも呼ばれています。しかしその一方で、お腹の張りや体重増加などの気になることも徐々に増えてくるもの。
そこで今回は、妊娠中期ならではの変化について徹底解説!「妊娠中期とはいつから?」「胎動はいつからあるの?」「お腹の張りってどんな感じ?」等々、妊娠中期の変化や気を付けることについて詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください♬
Contents
妊娠中期はいつからいつまで?
妊娠中期とは、妊娠16~27週までのこと。一般的には基礎体温が段々と下がり、悪阻・熱っぽさ・だるさなども解消される心身ともに一息つける時期だとされています。
また、身体がふっくらと丸みを帯び始め、赤ちゃんの動きが“胎動”として感じられるようになるのも妊娠中期頃からです。
妊婦さんの体形や感じ方によって異なるものの、大体妊娠16~22週頃に胎動を感じ始める方が多いようです♪
赤ちゃんの存在をハッキリと感じたり、妊娠5ヶ月の「戌(いぬ)の日」には安産祈願をしたり…と、マタニティライフをより楽しめるようになるでしょう。
しかしその一方で、妊娠中期ならではの注意点も増えてきます。
妊娠中期に気を付けること
急激な体重増加
妊娠中期に入ると、悪阻が楽になったことで食欲が増してきます。そのため、急な体重増加には要注意です。
妊娠中の体重増加量の目安
妊娠中の体重増加量の目安は、妊娠前のBMI値によって異なります。
BMIの計算方法は、『体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)』。自分のBMI値に照らし合わせながら、厚生労働省推奨の体重増加量をチェックしておきましょう。
妊娠前の体格 | BMI | 体重増加量の目安 |
低体重 | 18.5 未満 | 12~15 ㎏ |
普通体重 | 18.5 以上 25.0 未満 | 10~13 ㎏ |
肥満(1度) | 25.0 以上 30.0 未満 | 7~10 ㎏ |
肥満(2度以上) | 30.0 以上 | 上限5kgまでを目安に個別対応 |
参照:厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」
妊娠中の体重増加が止まらないと、どうなる?
妊娠中の体重増加が推奨量を上回ってしまうと、
- 妊娠糖尿病
- 妊娠高血圧症候群
- 出生時体重4000g以上の「巨大児」
- 帝王切開分娩
などのリスクが高まるとされています。
とはいえ、体重が増えなかった場合は以下のリスクが増大。
- 早産
- 出生時2500g未満の「低出生体重児」
等
胎児が十分に育たないまま早産になってしまうと、生まれる週数が早いほど器官が未熟なので重い障害が残る可能性が高まります。また、成人後に肥満・糖尿病などを発症するリスクも…。
妊娠中期に入ったら、栄養バランスのとれた食事を心がけ、かつ妊娠経過が順調であればウォーキング・妊婦ヨガなどの適度な運動を取り入れながら、適正な体重コントロールを行いましょう。
貧血
妊娠中の母体は、赤ちゃんを育てるために血液量がおよそ1.5倍にも増えます。しかし、血液中の成分はあまり増えずに水分が増えるため、血液が薄まってしまうことに。
さらに妊娠中期からは、胎盤が完成することにより赤ちゃんに優先して栄養(鉄分含む)が送られるため、貧血に悩む妊婦さんが増えてくるのです。
貧血が進行すると、吐き気・動悸・息切れなどママの体調が悪化するのはもちろん、赤ちゃんにも十分な酸素を送れなくなります。すると、
- 胎児死亡
- 低出生体重児
- 未熟児
などのリスクが高まってしまいます。
妊娠中期の貧血予防にはどうすれば良い?
妊娠中期の貧血を防ぐには、
- 栄養バランスの良い食事を心がける(特に「鉄分」と、鉄分の吸収を助ける「ビタミンC」)
- 十分な睡眠時間を確保して、規則正しい生活を送る
- 妊娠経過が順調な場合は、適度に身体を動かす
ことが基本です。
また、疲労が取れなかったり、常にふらつきを感じたりするような場合は早めに医師へ相談することも大切。食事指導・鉄剤の処方・輸血など、状況に応じた処置をしてもらえます。
腰痛
お腹が大きくなり始める妊娠中期は、腰痛に悩む妊婦さんも増えてきます。
妊娠中期以降に起きる腰痛の主な原因は、以下のとおり。
- お腹が大きくなることで、“腰を後ろに反らした姿勢”が多くなるため
- ホルモンの影響で骨盤の関節・靭帯が緩まり、腰や背中の筋肉に負担が掛かるため
- 運動不足や、体重の急激な増加などによる影響
これらの影響による腰痛を防ぐ・改善するには、以下のことを実践してみてください。
- 正しい姿勢(胸を張り、肩と骨盤が一直線になる)を心がける
- 「心地よい」と感じる程度に腰のストレッチをする
- 身体の冷え対策を強化する
- 長時間同じ姿勢でいることは避ける
- 骨盤ベルト・マタニティベルトを活用する
初めて骨盤ベルト・マタニティベルトを着用する際は、念のため医師や助産師に正しく着用できているかをチェックしてもらうと安心ですよ♪
便秘
妊娠中は、女性ホルモンの働きにより腸の動きが鈍くなります。また、妊娠中期に入ってだんだん子宮が大きくなってくると、子宮が腸を圧迫。その結果、さらに便秘がちになってしまうのです。
この時期に起こりやすいのは、便が腸の中に長く留まることで便の水分が失われる「直腸性便秘」。便がカチカチに硬くなるため、その状態で力むと肛門に傷がついて痔になってしまうことも…。
便秘を解消するには、
- 十分な水分補給をする
- 食物繊維を意識して摂取する
- 適度に運動をする
- 毎日決まった時間にトイレに行く
ことが大切。また、あまりに便秘が続くと腹痛・お腹の張りに繋がってしまうため、早めに医師に相談して便を柔らかくする下剤を処方してもらいましょう。
お腹の張り
妊娠中期に入ると、お腹の張りを感じる方が増えてきます。「お腹の張り」とは、子宮の筋肉が収縮している状態です。
子宮は「子宮筋」という筋肉で構成されており、赤ちゃんが成長するとともに徐々に引き伸ばされていきます。この引き伸ばされた筋肉は反射的に縮もうとすることがあるため、このときに硬くなる=お腹が張るのです。
また、緊張したり、刺激を受けたりしてもキュッと収縮して硬くなります。
お腹の張りって、どんな感じ?
お腹の張りは、
- お腹が硬くなり、押しても凹まない
- お腹がパンパンに突っ張るような感じ
- 下腹部が重くて苦しい感じ
- 子宮が締め付けられている感じ
のように言い表されることが一般的。なかには、呼吸のしにくさを感じる方もいるようです。
お腹の張りを感じても大丈夫なの?
お腹の張りは、程度や頻度によって様子見で大丈夫な張り(=生理的な張り)と危険な張りに分かれれます。
具体的には、お腹が張ったとしても
- しばらく安静にしているとすぐに収まる
- 1時間に2回まで(妊娠29週以前)
- 胎動が感じられる
ような状態であれば、基本的には問題ないケースがほとんどです。ただ、お腹の張りを感じたらすぐに身体を休ませましょう。
また、張りの頻度が高いようであれば必ず医師に相談をしてくださいね。
一方で、
- 1時間に3回以上(妊娠29週以前)
- しばらく安静にしていても収まらない
- 痛みがある
- 出血を伴っている
などの場合は要注意。張りの回数が多い・強い・長く続くようであれば切迫早産や流産などに繋がる危険性も考えられるため、早急に医師へ相談しましょう。
お腹の張りを防ぐには?
お腹の張りを防ぐには、以下の点を心がけましょう!
①疲労を防ぐ
妊娠中期は、体調が安定することから出歩く機会も増え、無理をしてしまいがち。しかし、身体の疲れはお腹の張りの原因になると言われています。
日中は疲れを感じず元気に動いていても、夜になってお腹が張るようなことが頻繁にあれば黄色信号です。妊娠中は決して無理をしないことを鉄則に、仕事や家事もセーブの仕方を覚えていきましょう。
②長時間同じ姿勢でいない
立ちっぱなし・座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢が続くとお腹が張りやすくなると言われています。これは、子宮の血行が滞ってしまうため。
デスクワークの妊婦さんは、こまめに立ち上がって歩く・休憩時間には身体を軽く動かすなどを意識しましょう。また、立ち仕事の方は負担の少ない業務への配置転換を相談してみてくださいね。
なお、お腹が張ってしまったら安静にすることが大切。職場の方へ相談をして、なるべく横になって休みましょう。
長時間の車移動・飛行機なども同じ姿勢が続くため要注意です!
➂身体を冷やさない
身体の冷えも、お腹の張りに繋がります。また、便秘や腰痛になりやすくなったり、足がむくみやすくなったりと冷えはさまざまな悪影響を及ぼします。
身体の冷えを防ぐには、
- 夏場でも冷房には注意する
- 腹巻・腹帯を使う
- 妊娠経過が良ければ、軽い運動で血行をよくする
- 飲み物は常温 or 温かいものにする
- 身体を温める食材(生姜・根菜・肉類・発酵食品など)をとりいれる
などを意識してみてくださいね♪
切迫早産
切迫早産とは、「早産になりかけている」状態のことです。
お腹の張りや痛み、出血がある、子宮口が開きかけているなど、通常よりも早い時期に出産にいたる可能性が高いと見られる場合、切迫早産の診断が下ります。
切迫早産と一口に言っても“自宅安静”でおさまるケースから、“入院をしても早産が避けられない”ケースまであり、切迫早産と診断されたからといって、必ずしも早産になるわけではありません。
しかし、もしも早産になってしまった場合は、生まれる週数が早いほど重い障害が残るリスクが高まります。
切迫早産の兆候がみられ医師から安静を指示されたら、どの程度の安静が必要なのかを細かく確認したうえで、できる限り身体に負担をかけない生活を送りましょう。
切迫早産とは?いつからなる?予防するには?気になる疑問を徹底解説!
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まとめ
心身ともに体調が安定し、ママになる喜びもますます増してくる妊娠中期。マタニティライフを楽しみつつも、決して無理はせずに身体を労わりながら過ごしてくださいね♪